第89回全国高校サッカー選手権 二回戦
2011.01.02 九州国際大付属高校(福岡県代表) (2-1) ☆ 埼玉ス
タジアム2002(天然芝)
2011.01.02 九州国際大付属高校(福岡県代表) (2-1) ☆ 埼玉ス
タジアム2002(天然芝)
高校サッカー選手権二回戦。相手は、激戦区の福岡で連続PKで東海大五、東福岡を打ち破ってきた九州国際大付属高校。春の遠征では対戦していない初顔合わせ。
前半に佐々木のバックヘッドが幸運にもゴール。後半は清水慎太郎の左足のトラップ&左足の振り向きざまのシュートで2点。「J規格」の凄いプレーだった。
終了間際に相手10番にヘッドで1点返され、やや厳しい時間が続いたがなんとか守りきって勝利。1回戦よりは、前半から運動量が多く、支配する時間が多く、西武台のペースの試合だった。
相手のFW10番がヘッドが強かった。
エルゴラの記事
エース清水、さすがの一振り
「前半は競り勝てなくて…」。空中戦で苦しむエースは悩んでいた。すると、1-0で迎えたハーフタイムに守屋保監督は「ファーで待つんじゃなくて、ニアで受けろ」と指示。それを実践したのが50分。左SB大迫翔太の低空クロスを左足トラップから左足で逆サイドネットを揺らし、2-0。大宮内定FW清水慎太郎の一振りに、スタジアムは震撼した。守屋監督も「言ってすぐできるんだからすごいよ」と舌を巻く。もっとも、試合前日に誰よりもシュート練習に励んだのが「清水だった」(同監督)。1回戦で4発を決めた九州国際大付だが、西武台の2トップにゴールを奪われる展開をはね返せず。試合後、杉山公一監督は「うまいだけじゃないね」と清水に脱帽していた。(本紙・古屋 恭平)
STRIKER DX Match Report
立ち上がりから積極的に前に出た西武台が、前半17分に佐々木のバックヘッドで先制。その後、九州国際大付に何度かチャンスを許すが、フィニッシュのところで体を寄せ、前半を無失点で切り抜ける。後半立ち上がりこそピンチを迎えたものの、それを乗り切ると、後半9分に清水が鮮やかなボレーシュートを決め2点差に。終了間際に1失点をしたものの、粘り強い守備で攻撃力のある九州国際大付を退けた。
攻守がかみ合い九州の雄を撃破
サッカー王国再興の予感が漂う
西武台がインターハイベスト4の実力の片りんを見せた。
1回戦こそ香川西のムービングサッカーに苦しめられたが、初戦という重圧からの解放と、埼玉ホームでの試合を経験したことで、この日は攻守に持ち味を発揮した。
まず目についたのが、持ち味の一つである守備力の高さ。素早いパスワークが特長の九州国際大付の攻撃に対し、それぞれの持ち場をきっちり整理して、入ってきた相手に集中する組織だった守備を披露。危ないシーンではチャレンジする人、カバーする人の役割を明確にし、決して無謀な飛び込みをしなかった。
そしてこの日、特に効いていたのが、GK小澤章人。守屋保監督も「点を取った清水よりも、小澤のファインプレーを評価したい」と語ったように、彼が何度もピンチを救っていた。決して派手な横っ跳びはなかったが、その判断力とセービングは素晴らしかった。九州国際大付の攻撃は、トップ下に入った 田村友の意外性のあるスルーパスが特長。DFラインは何度か田村のアメージングなパスに反応できず、裏を取られていた。そのたびに、スイーパーのような役割も果たしている小澤が躊躇なく飛び出してきて、スライディングでセーブ。ときにはエリアから大きく出てきて、ダイビングヘッドでクリアするシーンもあった。
そしてもう一つ、西武台で光っていたのが、清水慎太郎を中心とした攻撃。西武台には攻撃に明確な「型」があり、サイドからのクロスを清水がヘッドで競り、そのこぼれに佐々木雅人をはじめとする、2列目の選手が絡む形。この必殺パターンを生み出すために、左サイドに人を集めて、右サイドにフリーの選手を作り出し、そこから精度の高いクロスを供給していた。それがうまくいかないときには、右サイドバックの澤本玲から右MFの中村聡一朗に速いパスを通し、すぐさまアーリークロスを上げていた。
この型通りの攻撃ができているときは、完全に主導権を握ることができていたが、この日はそれが長続きしなかった。時間帯によっては、相手にボールを支配されることもあったが、そんなときに抜群の存在感を発揮したのが、清水。前線に張る清水にパスが渡ると、彼はDFを背中でブロックしたり、すぐに反転してドリブルに入ったりして、とにかくボールを保持。時間にして5秒ほどのことだが、これでDFラインは通常の位置まで押し上げることができ、自分たちのペースに引き戻していた。
さらにその清水は、後半9分に華麗なゴールまで披露。左からのクロスに走り込み、ファーストタッチで相手の逆を取り、回転しながらボレーシュートを突き刺した。クロスボールが少し後ろにそれ、通常ならファーサイドにトラップするところだったが、相手の読みを外すために、あえてニアにトラップした頭脳的なプレーだった。この清水のことをもう少し補足すると、身長176センチと決して大柄ではないが、ヘディングの競り合いではほとんど負けることはない。オフザボールの動きを見ていると、一度DFの死角に入り、そこから勢いをつけてDFの前に入ってヘディングをしていた。これについて聞いてみると、「勝つために編み出した方法」だという。
この清水をはじめ、2試合連続ゴール中のFW佐々木、ボランチの末松光と松本和樹らが、試合ごとに調子を上げているように見える。サッカー王国の再興の日が近づいている予感がする。
一方敗れはしたが、しっかりつないでゴールに迫る攻撃を見せた九州国際大付。両チームの実力に大きな差はなかったが、杉山公一監督が「清水君の能力が高く、防ぎ切ることができなかった」と語ったように、唯一決定力という意味で違いがあった。1回戦で途中出場ながらハットトリックをやってのけたFW田口光樹はまだ2年生。彼を軸に来年度再びこの舞台に帰ってきてほしい。
(監督・選手コメント)
西武台・守屋保監督
31日(1回戦)は間の抜けた試合になってしまったので、試合前のミーティングでは「今日が俺たちの最後だ。俺たちに明日はない。今日を生きよう」と、この試合に全力を傾けることを伝えました。選手たちはよく粘ってくれた。ただ2 0という点差の中で、ドリブルをかっさらわれて逆襲から失点してしまった。攻めて3点目を奪うのか、守り切るのか、戦い方がはっきりしなかった。うちはこれまで攻めて勝ってきたチーム。それを最後まで貫き通すべきだった。負けたくないという気持ちが出てしまって、腰の抜けたゲームになってしまった。心から喜ぶことはできない。
西武台・清水慎太郎
監督からは、パスを出してからもっと動けと指示があった。前半は自分たちがリズムをつかむまで、ロングボールを使うようにいわれていた。それがうちのスタイルでもある。1回戦を戦っているので、もう緊張感はなかった。(得点シーンは)左からのクロスをファーサイドにトラップしたらボールを取られると思ったので、逆を取ってニアにトラップした。本当はもう少し足元にボールを収めるつもりだったが、ボールが弾んでしまったので、ボレーにいった。
九州国際大付・杉山公一監督
お互いに守備意識が高いチームなので、どうやって得点を取ろうかと思っていたが、予想以上に相手の清水君の能力が高く、防ぎ切ることができなかった。
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